富士フイルム富山化学が創製した、アルツハイマー型認知症(以下 AD)治療薬「T-817MA」の臨床第II相試験を欧州で開始

-軽度認知障害および軽度アルツハイマー型認知症を対象-

富山化学は、新型コロナウイルス(COVIT19)の治療薬として期待されている(抗インフルエンザ薬「アビガン®錠」)を生産している会社です。会社の歴史は古くて、創立は1930年、創立90年以上(2021年現在)になります。2002年に大正製薬と資本業務提携、2008年に富士フィルムホールディングスも加えた3社で戦略的資本業務提携、2018年に富士フィルムに買収され、100%完全子会社になっています。売上高2兆円を超える富士フィルムが、富山化学を手に入れたかったのは、富山化学の技術力の高さを相当評価しているからなのでしょう。 
富山は昔から「薬」で有名ですが、「薬」の分野では日本に中で優良な企業が沢山あり、最も注目されている地域なのでしょう。 
1日でも早く臨床実験が終わり、認可されて、「認知障害及びアルツハイマー型認知症」の患者さんとその家族を助けてあげられると良いですね!

2019年12月25日 富士フィルム株式会社のプレスリリースより

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、この度、アルツハイマー型認知症(以下 AD)の治療薬「T-817MA」の臨床第II相試験を欧州で開始しましたのでお知らせいたします。本試験は、軽度認知障害(*1)および軽度ADを患った早期AD患者を対象としたものです。ADは、記憶などの認知機能の異常を主症状とする疾患です。現在、線維化したアミロイドβの脳内沈着や、過剰にリン酸化したタウタンパク質(リン酸化タウ)の蓄積による異常凝集物の形成(神経原線維変化)、シナプス(*2)の減少、神経細胞死、脳の萎縮などの異常が、AD発症前から発生し、ADの進行に深く関わっていることが明らかになっています。なかでも、リン酸化タウの蓄積と認知機能の低下は、有意に相関することが報告されていることから、ADの進行にはリン酸化タウの蓄積が重要な役割を果たしていると考えられています。「T-817MA」は、富士フイルム富山化学株式会社が創製した、AD治療薬の候補化合物で、神経細胞保護効果や神経突起伸展促進効果を有しています。2014年より米国で開始した、軽度から中等度のAD患者を対象とした臨床第II相試験では、脳脊髄液を採取できた患者群においてプラセボ群と比較してリン酸化タウの減少が確認されています。富士フイルムは、これまでの臨床試験の結果を踏まえ、脳脊髄液中リン酸化タウの変化(期間:投与開始から18か月まで)を主要評価項目とした、「T-817MA」の臨床第II相試験を欧州で開始しました。AD治療には早期介入が重要であることから、本試験では、脳脊髄液中にあるアミロイドβおよびリン酸化タウなどADのバイオマーカー(*3)が異常値を示す、軽度認知障害および軽度ADの患者を対象とし、「T-817MA」の有効性および安全性を検討します。「T-817MA」は、AD治療薬の新たなターゲットとして注目されているミクログリア細胞(*4)における、アミロイドβを貪食する機能を促進させる作用があることが、マウスおよびヒトiPS細胞由来の細胞実験で確認されています。今後、富士フイルムは、臨床開発とともに、「T-817MA」と、ADの主要原因物質であるリン酸化タウやアミロイドβ、ミクログリア細胞との関係の解明をさらに進めていきます。富士フイルムは、アンメットメディカルニーズが高い「がん」「中枢神経疾患」「感染症」領域で新薬開発を積極的に推進し、革新的かつ高付加価値の医薬品を創出することで、社会課題の解決に貢献していきます。

*1 ADの前段階の状態で、物忘れのような記憶障害が出るものの症状がまだ軽い状態。MCI(Mild Cognitive Impairment)とも呼ばれる。
*2 神経細胞同士をつなぎ神経細胞間の情報伝達の中心を担う構造体。神経細胞が活性化すると、その神経細胞のシナプス前末端から放出された神経伝達物質が別の神経細胞のシナプスにある受容体に結合することで情報が伝わる。
*3 血液検査での臨床検査値、MRIでの画像診断データなど、薬理学的な反応の指標として客観的に測定・評価される指標。
*4 異物除去など脳内の恒常性維持を担うグリア細胞の一種。通常、脳内に集積したアミロイドβの貪食や傷ついた神経細胞の再生を促進するが、異常に活性化すると神経細胞死の原因となる炎症性サイトカインを放出するなど脳内の炎症を促進する。

【「T-817MA」について】
「T-817MA」は、富士フイルム富山化学が創製した、ADの治療薬候補化合物です。すでに「T-817MA」では、さまざまなストレスによる神経細胞死の防止、ミクログリア細胞の機能調節による炎症反応の抑制、神経細胞の新たなネットワーク構築の促進など、多様な作用を示唆する研究成果が報告されています。これらの成果に基づき、富士フイルムグループは、「T-817MA」を、認知症治療薬の他、脳卒中後のリハビリテーション効果を促進する新薬としても開発を進めています。

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